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本棚に追加第一夜-2
「いよいよですね」
「ああ。正直嫌な予感しかしないが……」
想定されるのは、犯行声明や脅迫あたりだろう。もし趣味の悪い人物が犯人ならば切断時の映像という事も考えられる。いずれの内容にしても、何かしらの情報を得る唯一の手掛かりとなるはずだ。
日中の捜査が空振りに終わった徒労と、何が起こるのかわからない不安と、様々な感情が入り乱れた特捜本部の会議室。嫌に静まり返った状況で、全員が固唾を飲んでスクリーンを見ている。
そしてついに、時刻は21:00。
スクリーンに画面を共有しているPC。その前に座る捜査員が更新ボタンをクリックした。
画面に映し出されたのは先程までと同じ初期設定アカウントのホーム画面。
ただし、何もなかった動画が一本、追加されたようだ。サムネイルの下には赤いマークで「LIVE」と表記されている。
捜査員はサムネイルにマウスを合わせ、クリックする。
すると画面は全てを飲み込むかのように黒で覆われた。音声も今のところ無い。
左上にはひとつ前の画面と同じ「LIVE」の文字。
すぐに何かの映像が始まるものだと思っていたので、虚を突かれた思いだった。
「先輩、これ生配信です……」
「生配信?リアルタイムの映像ってことか?」
高柴が不安そうな表情を浮かべ頷く。
生配信……今この瞬間、犯人が何処かで映像発信しているという事だ。
しかし、コイツの目的は一体なんだ。
捜査員全員の表情がさらに強張り、緊張が走る。
一秒一秒がそれとは思えぬ程にゆっくりと過ぎていくようだ。
恐らく1分も経っていないが、俺は痺れを切らし直接PCを覗き込む為に担当刑事のデスクまで向かおうとした。そしてその瞬間。
『みなさん、はじめまして』
突如、無機質な声が特捜内に響き渡った。ボイスチェンジャー特有の耳に残る嫌な声だ。
『私からのプレゼント、受け取ってもらえたみたいですね。見てくれているのは警察の人が多いのかな。始めちゃおうかな。もう少し待とうかな』
独り言のような発言が一旦止み、何かを操作する音が聞こえる。
『よし、これで完了。もう少し閲覧数が増えたら、始めようか。ねえ?警察の皆さん』
閲覧数とは、この配信を視聴するアカウント数の事だそうだ。視聴数を増やして、注目を浴びたいという事だろうか。
いや、そんな単純な話ではないはずだ。しかし、画面左下に表示された視聴数は少しずつ増えていく。
そして今度は、また別の声がスピーカーから聞こえてきた。
『うっ……う”う”ぅ!!!!』
何かの呻き声のような音声。口に何かを詰められ、まともに喋る事が出来ない時のようだ。
『こらこら、アナタの出番はこれからですよ?まだ声を出しちゃダメじゃないですかあ』

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