prologue

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 都市伝説や怪奇現象、超常現象……。  そんな所詮嘘っぱちと切り捨てられるような現象が一部では陰謀論のように広まっていっていた。  『記憶を封じてしまう呪いの手紙』や、『永遠の迷路』等。人々が想像した怪奇現象はその言霊に描かれ、具現化していく。  そしてそれらの行き着く先は――。  『律銘館』だった。  別名、悪魔の屋敷とも呼ばれていて18世紀に栄えた天文学研究者の律銘狂我(りつめい きょうが)が大学を齢で去った後に研究を余生につぎ込みたい、と助手たちに願ったことから作られた屋敷だ。  この屋敷で彼は一日中ずっと食事も殆ど摂らずに非科学的現象である『怪奇』について調べていた。  そんな彼が亡き後、律銘館は今ではボロボロの廃墟と化していた。  昔は手入れ好きだった彼の影響かいつみても煌びやかで逆に輝きが薄くなっていくと近隣からも違和感があると、そう言われるほどだった。  しかし、今は廃墟と化してしまい過去の美しさも見る影もなく。  過去の姿を拝むことはできない――と、思われていた。  ある日のローカル雑誌にて、律銘館の昔通りの写真が送られてきた。そして、今は亡き、律銘狂我と投稿者が映った写真とともに。
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