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何となくだけど、10人の組織をつくる事になってしまった。 「名前はどうします?」 「名前って?」 「嫌ですよ、私と師匠との子供の」 「組織の名前か」 「あ、スルーは酷いです」 「レイちゃんが決めていいぞ」 「いいんですか?」 「キラキラネームは駄目だぞ」 「分かりました」 うーんと考え込むレイちゃん。 「マンテン、どうです?」 「まんてん?」 「人が10人だから」 「ヒューマンがテンでマンテン」 「ですです」 「なるほど。じゃあ、マンテンで」 「はい。で、どうやってメンバーを入れるんですか?」 「レイちゃんの鑑定で」 「私?」 「触った人のいろんな事が分かるんだよな?」 「分かりますけど」 「良さげな人を見つけてくれ」 「見つけるのはいいですが、勧誘方法は」 「俺の催眠能力で眠らせてから能力付与する」 「それ、犯罪とちゃいますか?」 「別に痛みとか危害は加えないからセーフだろ」 「ですかね?」 「たぶん」 「もし、水晶結界にアウトと判断されて結界の外に出されたら、二度とイリー市に入れませんけど」 「まあ、そうだけど、レイちゃんだって俺の記憶を書き換えようとしたじゃん」 「あ、そうでした」 「結界水晶的にはセーフだったようだな」 「ひゃー、危ないことしてましたね」 「だな。だったら、催眠で能力付与はセーフだろ」 「でも、私は未遂ですけど」  「未遂だったからセーフだったのか?」 「かもです。勝手に他人の人生を変えるのはアウトかも」 「まあ、確かに」 やはり、相手の了解を得てから能力付与したほうが良いかもだな。 正当防衛的なのは水晶結界に認められると思うけど、詐欺みたいなのはアウトかもしれないし。 水晶結界のアウトセーフ基準が分からないしな。 完全にアウトなのは殺人事件レベルらしいから、大丈夫だとは思うが危ないことはしないほうがよいだろう。 とりあえず、組織の事は今日の屋台の仕事が終わってから考えるか。俺も金を稼がないとやばいからな。金が尽きると野宿になってしまうし、食事もできなくなる。 「レイちゃん、そろそろ屋台広場に行こうではないか」 「あ、そうですね。でも、その前に材料を買いに行かないと」 「え? 売り物はタブレットで出すけど」 「あのですね」 「うん」 「食べ物屋台は、その場で料理したものしか売れませんよ」 「そうなの?」 「はい」 それは知らんかった。 「と、言うことは、ここで材料をタブレットで注文してから持っていく事になるな」 「そうなりますね」 「だったら、市場で調達したほうがよくない? 市場は屋台広場の隣だし」 「そうかもですね」 だったら、こっちの世界の材料で出来る食べ物になってしまうな。 「じゃあ、ラーメンとかお好み焼きにするか」 「あ、食べたいです」 似たような材料はこっちにも存在するからな。至福のラーメンと至高のお好み焼きを作ってやるよ。待ってろよ、異世界人たち。 「今日は仕込みの時間がないから、お好み焼きだな」 「そうですね。ラーメンはスープが時間いりますもんね」 「チャーシューもな」 「あ、チャーシュー食べたいです」 「煮卵もほしいな」 「煮卵もいいですね〜」 市場で買い出しをしてから屋台広場へ行った。 調理道具は屋台広場の管理場で購入したりレンタルできる。 管理人さんとは、昨日あいさつしているから、手続きはスムーズだった。 俺に割り当てられた屋台へ調理道具や食材を運ぶ。 「師匠」 「ん?」 「私、すっごく力持ちになったかも」 軽々とたくさんの荷物を持っているレイちゃん。俺もたくさん持っているが。 「まあ、レベル99のパンチを持ってるからな」 「足腰も強くなってる感じが」 「そりゃあ、体幹が強くないとレベル99のパンチなんか打てんよ」 「なるほどです、師匠」 よく知らんけど。
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