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これが俺の屋台か。 まあ、どの屋台も同じような作りだけどな。 さて、至高のお好み焼きを作ってやる。 地球の食材とは違うが似たような物はある。俺の新たな能力【少しだけ物質変換】を使えば、地球の食材そっくりにできるはず。 いや、完成品を少しだけ物質変換すれば。 どうせ物質変換するんだから、安い材料を買ったのだ。 多少古い材料でも、俺の【細胞活性化】能力を使えば、萎れた野菜も、あらビックリ。新鮮野菜に早変わり。 消費期限ギリギリのセールス品の肉も、あっという間に新鮮な肉に早変わりなのだよ。 これならお好み焼きを多少安く売っても、利益率は良いはず。 あ、水が必要だな。 「レイちゃん、水を買ってきてくれるかな」 「はい、どれくらい?」 「まあ、持てるだけ」 「はい」 お好み焼きを焼く用意をしていたら、水が入った容器を山のようにレイちゃんが持ってきた。 「お待たせです」 「お疲れ。それ、何リットル?」 「200リットルです」 「重くなかった?」 「軽いです」 なるほど。200キロの水を軽く持てるのか。 水を売ってる人、びっくりしただろうな。 さて、作るか。まずは試食しないと。 お好み焼きみたいな物を作りながら、俺の能力【少しだけ物質変換】を使う。 お好み焼きもどきは、完全なお好み焼きに変身した。 小麦粉、山芋、卵、もやし、キャベツ、天かす、豚肉入りの広島風。 関西風も作った。 ソースとマヨネーズ、青海苔と鰹節はタブレットで異世界通販した。 調味料くらいは屋台の陰でこっそりと異世界通販して、こっそりと取り出すくらいバレないだろうし。 「いい匂い〜」 「レイちゃん、試食だ」 レイちゃんと半分こする。 「わーい。いただきます」 「いただきます」 「ハフハフ、美味しい!」 「美味いな」 「すっごーく美味しいですよ、これ」 「まあ、レベル99の料理人スキルで作ったからな」 「これ、売値は?」 「レイちゃんなら、いくらで買う?」 「500カル」 おい、安いな。すっごーく美味しいと言ったわりに500カルかい。 しかし、屋台だもんな。お好み焼き1枚の原価は150カルくらいだから、粗利益は1枚350カルで50枚売れば17,500カルの粗利益。 屋台組合に払う手数料が1日2500カラだから、レイちゃんにアルバイト代を5,000カル払っても1万カル残る。 よし。1日の売り上げ目標は、お好み焼きは50枚。ラーメンなら50杯だな。 しばらく考えた俺はレイちゃんに言った。 「よし、500カルで売る」 「はい。計算も楽です」 「そうだな」 500カル銅貨があるからワンコインだ。 屋台広場の前は市役所で、昼前になると職員たちが交代で屋台に食べに来る。 今日は市役所は休みだから、休日出勤の人たちだけで少ないが。 しかし、隣の市場からも、働いている人たちが食べに来る。 周辺に住んでいる人や働いている人たちも食べに来るから、昼前から昼過ぎまで屋台広場は客が途切れることはない。 さて、もうすぐ昼前だ。俺も売る準備をするか。 さて、お好み焼き広島風と関西風だが、広島風と関西風って何だ? と聞かれても困る。 広島風は、重ね焼き。関西風は、混ぜ焼きにするか。 ぶっちゃけ、関西風のほうが作るのは簡単なんだが、どっちが売れるか分からんし。人気のないほうは販売中止でもいいし。 俺が焼いて、ソースやマヨネーズとかの仕上げはレイちゃんに任せる。お好み焼きの説明やお金のやり取りもレイちゃんに任せる。 そう、俺はお好み焼きを焼くマシーンになるのだ。 重ね焼き500カル、混ぜ焼き500カルと表示もした。 あとはレイちゃんの色気で客が寄ってくる、わけはないから、匂いで客寄せだな。 レイちゃんは可愛い系だが色気はないし。まあ、15歳で色気があるほうが怖いけど。 1枚目の広島風お好み焼きを作った。 「レイちゃん、頼む」 「はい」 レイちゃんがトッピングする。 料理上手の能力を付与したから、レイちゃんは手際よくトッピングした。 「わ、まるで自分の手じゃないみたい」 レイちゃんは感動していた。 お好み焼きにトッピングするだけで感動するとは、前はどんだけ不器用だったんだ?
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