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スキルが発動した日の夜、やっと俺は1人になれた。
スキルのステータスをゆっくりと確認したかったのだが、常に誰かが質問したり話しかけてくるから集中してステータスを読めなかったのだ。
ステータスは脳内に表示されるような感じだから、かなり集中しないと、はっきりと文字として認識できない。
さて、集中。
俺は集中してステータスを読んだ。
スキル名 マジックハンド
レベル 99
スキルの詳細
・99種類の手技(技量・技能・アビリティー・手腕・技工・伎倆・技・力倆・技芸・伎・腕前・技倆・力量・技巧・技術・スキル)を設定できる
・しかし、何でもは設定できない
・設定できた手技はステータスに表示 される
・設定に失敗したなと思う手技は変更できる
俺はステータスを読み終えたが、ステータス開示初心者だから、これだけ読むだけでかなり疲れた。
しかし、99種類の手技の定義が幅広いな。
俺は99種類の仕事ができるってことなのか? それもレベル99のレベルで。
しかも、手技の中にスキルもあるし。
好きなスキルも自由に設定できるってか?
しかも、設定変更も可だし。
若気の至りで設定してしまった中二病みたいなスキルも、後で変更できるのは助かる。
とりあえず、今の俺の懸念はスキルのレベルがバレることだ。
公的機関からスキルについて質問されて、嘘を言ったら重罪なのだ。
レベル99で99種類の能力が使えるなんて、そんなの、悪い組織や国とかからいいように利用される未来しか見えないぞ。
いくら強くても、個人が組織や国と喧嘩して勝てるとは思えない。
身内とか人質に取られる可能性もあるし。
身内を人質に取られるとか思うと、おちおち結婚もできないし子供も作れないからな。
そう考えた俺は、スキルを改ざんできる能力を設定することにした。
あれ? どうやってステータスに能力を設定するんだ?
その方法なんて説明が書いてなかった。
うーん。手に書いてみるか。
ふと思ったが、俺のステータスは日本語で書いてあった。
日本語で……
あれ? こっちの世界の人間には日本語なんか読めないよな?
ならば、スキル鑑定士にスキル判定されても、俺のスキルは意味不明だよな?
少なくとも、こっちの世界で日本語を見たことなんてなかったし。
なら、スキルの改ざんはしなくても大丈夫だな。
手の設定か。
まずは、怪我や病気を治す手が欲しいな。
しかし、どんな凄い能力の手を持ったとしても、手が破壊されたらどうにもならない。
誰にも破壊されない頑丈な手が欲しい。と、右手で左手に書いてみた。
ステータスを確認する。
能力
・頑丈な手
残り98手
【誰にも破壊されない頑丈な手】と書いたのだが、ステータスには【頑丈な手】としか書かれてない。
俺より強い奴には破壊されるってことなのか?
しかし、俺はレベル99だぞ。俺より高いレベルの奴がいるのか?
いや、レベル99の奴が2人いるとして、そいつらに同時に手を狙われたら破壊されるかもしれないな。
レベル99✕2の攻撃を、同時に防ぐのは無理だろう。
これは、信用できる仲間をつくるか、信用できる組織に所属したほうがいいのかもしれない。
レベル99なら無敵かと思ったが、そうでもないのかも。
レベル99の奴が2人同時に俺を攻撃してくるシチュエーションがイメージできないし、レベル99がそう何人もいるとは思えない。
この国にもレベル99の奴はいないはず。
この国で最高のレベルは98らしい。
しかしだ。レベル90くらいの奴らが5人くらいで俺を攻撃してくる可能性はある。
レベル90✕5の攻撃を防げるのか?
うーん。レベル99でも安心できないのかもしれない。
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