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異世界転生とか転移とか現実に有るわけないと思っていたが、まさか自分が転生するとは。
気になるのは、この異世界に元日本人や元地球人が他にはいないのかってことだ。
いたとしたら、俺が異世界転生特典か知らないがレベル99だったように、そいつらもチートスキルでレベル99の可能性が高いだろう。
ここの世界で15年間生きてきたが、思い出しても地球に関することは聞いたことがないと思う。
1つの異世界には、1人の異世界人しか転生できない法則なら良いのだが。
俺は前世で将棋のプロ棋士だった。プロ棋士は基本的に1人で考え、1人で行動し、その結果の全ては自らのものなのだ。
他人とつるんだり協力するとか、そんなことができない、したくないのがプロ棋士なのだ。
他人に命令されて働くとか絶対に嫌だから、人生をかけてプロ棋士になったのだ。異世界転生しても好きように俺は生きたい。
俺は俺の両手をじっと見た。
この手だけは何としても守らなければ。
手が破壊されても自動再生できないのか?
何なら、頭とか破壊されても自動再生とか。
身体自動再生だな。
俺は左手に身体自動再生と書いた。
ステータスを確認する。
しかし、【手を自動再生】としか書かれてなかった。
手だけなのか? いや、手が自動再生は助かるが、内臓や頭が破壊されたら死んでまう。
身体欠損を治せる能力があれば。
左手に身体欠損治癒と書いた。
ステータスに【身体欠損治癒】が追記された。
補足があり、欠損部分を手で触れば欠損が治るらしい。
よかった。これで即死じゃなければ何とかなりそうだ。
いや、しかし、痛いのは嫌だぞ。
物理攻撃バリアを設定した。
だがしかし、攻撃は物理だけではない。精神攻撃もあるし、呪いもある。
精神攻撃バリアと呪い攻撃バリア、病原菌バリアと病気バリアも設定した。
これだけバリアしたら大丈夫だよな?
あ、悪い奴とかいやだな。
見た目は良い奴でも悪い奴っているからな。
悪い奴バリアも設定。
防ぐのはこれくらいでいいか。
これで設定した能力は9つ。まだ90の能力を設定できる。
前世の記憶が蘇った俺だが、前世でも1人が好きだった。家族と仲が悪かったわけでもないが、家族のためなら自分を犠牲にとか、そんな気持ちは全くなかった。俺は薄情な人間なんだろうな。
いくらレベル99を隠して生きたとしても、いずれは俺が凄い奴だと世間は知るだろう。
日本はわりと平和な国だったが、それでも殺人事件は毎日のように起きていたし、おちおち道を歩いていたら車で轢き殺されるような国だった。俺もトラックに轢き殺されたし。
こっちの世界でも殺人事件は起こるし、町を出ると猛獣やモンスターとかウロウロしている。
人間は結界を張って生活しているのだ。
地脈とつながる水晶を使い、広範囲に結界を張っている。
その結界を張るのは結界師だ。
地脈とつながる水晶だが、正確には天然の水晶ではない。水晶師スキル持ちがスキルで作る水晶なのだ。
結界師は定期的に結界水晶にエネルギーをチャージしているのだが、やはり、レベルの高い水晶師のほうが結界は強いし長持ちする。
俺が住む町にも結界師はいるのだが、レベルがそんなに高くないのか、そんなに強い結界は張れないらしい。
なので、不足する結界力をたまに高レベルの結界師に補充してもらっている。
町から市への移動とか、普通の人は1人では怖くてできない。
猛獣やモンスターがウロウロしているから、一般人なんかすぐに餌食だ。
だから、一般人は水晶結界を積んだ馬車で移動する。
移動する馬車だから、地脈と水晶は繋がってない。繋がってないから結界は強くない。
しかし、数日間くらいは猛獣やモンスターからの攻撃は防げるのだ。
俺も、そんな水晶結界馬車で隣のイリー市へ行くことになる。
攻撃バリアがレベル99の俺なら1人で町の外を歩いても大丈夫だろうが、1人で歩いてイリー市に行ったら俺が高レベルのスキル持ちだとバレてしまう。
水晶結界馬車の料金は高いが、仕方ないな。
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