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「そうですね」
促されてナイフとフォークを取った。
ベリーがたっぷりのったパンケーキは美味しそうだ。
「和家さんはお仕事でいらしてるんですか?」
「仕事と言えば仕事だな」
悪戯っぽく彼は言うが、それで信じろだなんて難しい。
「こちらにはいつまで滞在予定なんですか?」
「特に決めてない」
「お仕事はなにをしてらっしゃるんですか?」
「んー、内緒」
とか言われて安心できるわけがない。
「あのー、……カタギの方、……ですよね?」
仕事は謎、それでいてきっとかなりのお金持ち。
まともな職業な人間だとは思えない。
「誓って、やましい仕事はしていない。
人よりちょーっと、稼いでいるだけだ」
なんでもない顔をして和家さんは言うが、……ちょーっと、ね。
ちょっとでリムジンを乗り回し、私を高級ホテルのスイートに連泊させられるとは思えない。
「わかりました、これ以上聞きません」
これ以上、詮索するのはやめよう。
この人を頼って、一時の夢をみる。
それでいい。
「うん、そうしてくれると嬉しい」
これでこの話はおしまい。
あとは美味しいパンケーキを堪能した。
朝食のあとはショッピングセンターへ連れていかれた。
「あのー」
「李依の服を買うって言っただろ?」
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