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日本に帰ったら私は前を向いて生きていく。
……でも。
「着替え、済んだのか?」
「あ、はい」
返事をして寝室を出る。
「最後の朝は優雅に、ゆっくりホテルで食べよう」
「そういえばいつも外で食べていたので、ホテルの朝食はこれが初めてですね」
一緒にカフェに向かいながら和家さんをちらり。
きっとこのまま一緒にいたら、少しずつ好きになっていたんだと思う。
しかし彼とは今日でさよなら。
日本に帰ったら彼との関係は絶たれる。
朝日の差し込むカフェでの朝食も、最高だった。
「日本に帰っても元気でな」
「はい」
連絡先とか聞いたら、教えてくれるだろうか。
でも仕事すら教えてくれなかった彼が、簡単に答えてくれるとは思えない。
それに彼は、きっと住む世界が違う人。
たまたま、異国の地だったから彼とこうして知り合えただけ。
「初めて会ったときと違い、明るい顔になってよかった」
「和家さんのおかげです。
ありがとうございます」
今できる最高の笑顔で彼に返す。
「あのとき、和家さんに声をかけてもらえて本当によかったです」
巡り合わせてくれた神様には感謝を。
和家さんに出会えなければ、帰国しても落ち込んだままだっただろう。
「僕も李依に出会えてよかった」
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