第一章 挙式予定のハワイまできて式目前で彼と別れました

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日本に帰ったら私は前を向いて生きていく。 ……でも。 「着替え、済んだのか?」 「あ、はい」 返事をして寝室を出る。 「最後の朝は優雅に、ゆっくりホテルで食べよう」 「そういえばいつも外で食べていたので、ホテルの朝食はこれが初めてですね」 一緒にカフェに向かいながら和家さんをちらり。 きっとこのまま一緒にいたら、少しずつ好きになっていたんだと思う。 しかし彼とは今日でさよなら。 日本に帰ったら彼との関係は絶たれる。 朝日の差し込むカフェでの朝食も、最高だった。 「日本に帰っても元気でな」 「はい」 連絡先とか聞いたら、教えてくれるだろうか。 でも仕事すら教えてくれなかった彼が、簡単に答えてくれるとは思えない。 それに彼は、きっと住む世界が違う人。 たまたま、異国の地だったから彼とこうして知り合えただけ。 「初めて会ったときと違い、明るい顔になってよかった」 「和家さんのおかげです。 ありがとうございます」 今できる最高の笑顔で彼に返す。 「あのとき、和家さんに声をかけてもらえて本当によかったです」 巡り合わせてくれた神様には感謝を。 和家さんに出会えなければ、帰国しても落ち込んだままだっただろう。 「僕も李依に出会えてよかった」
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