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なぎさ:ふーん。それで?
わたし:よしゃあいいのに利根川左岸、つまり茨城県側に出ようと思いました。
なぎさ:直感的には茨城は右の岸って気がするけど。いや、上岸か?
わたし:それは北を上にした地図をイメージしてるからでしょ。でも、川を下る船に乗ってると考えればいいんです。
なぎさ:あー、時の河を渡る船にオールはない♬
わたし:利根川を渡る橋も少ないです。さすが大河って感じ。これは栄橋から上流を見たものだけど、橋ないでしょ。
なぎさ:これは?
わたし:小貝川が利根川に合流するところ。
なぎさ:ふーん。利根川沿いに行くんだったら、小貝川を渡らないとね。
わたし:よくわかるね。
なぎさ:迷ったんだな。方向音痴で自信家って、金儲けが下手で浪費家っていうのと同じで、困りものだね。
わたし:反論の余地がない。ナビが経路を検索できなくなったのも相俟って……
なぎさ:相俟るもんだよ。天気が良かっただけいいとするんだね。
わたし:なるほど。
千葉ってなんで、ああも小さな山が連なってるんだと思いながら、舗装されてない農道を走ったり……
なぎさ:千葉じゃなくて茨城じゃないの?
わたし:ああ、そうだった。
なぎさ:一句できた。
秋の田に朽ち果てし自転車や
いっそ遭難してれば風流だったのに。
わたし:化けて出てやる。ま、なんとか大利根橋を渡って、右岸に戻って来ました。
江戸川と違って誰もいなくて気持ちいいなって思ってたら、けっこう砂利道が多くて、ロードバイクが走らないわけがわかりました。冷えて来たんで、朝に順に脱いだロンTや上着をまた着ていきます。
なぎさ:夕方の光を撮りたくて、モタモタしてるんじゃないの?
わたし:不器用なだけです。手先だけじゃなく時間を操るのも。
秋の暮れ二度空を切りペダル踏む
わたし:やっと利根運河に着いた時にはもう夕闇が迫っていました。
なぎさ:秋らしい風景だね。
夕暮れの日に早まれる熟柿かな
わたし:月のない江戸川の土手道を走りました。ジョギングしたり、散歩したりする人が意外といました。
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