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「え、何? 二人デートするの?」
「噂は嘘だと思ってたけど結局そういうこと?」
「何だよ半藤! 森村を誘ったのかよ〜!」
すると突然まだ教室内に残っていた数人のクラスメイトがみる香とバッド君を囲うようにして声を上げ始めた。
みる香は注目を浴びていることに気が付かず、皆の発言で顔が真っ赤に染まる。変な誤解を生み出してしまった。
するとバッド君は視線を向ける数人のクラスメイト達に目を向けると言葉を発した。
「俺とみる香ちゃんは友達だよ。俺最近、女の子との友情に目覚めちゃったんだよねえ」
そんな言葉を繰り出した。みる香は唖然とした顔でバッド君を見上げるが周囲の反応は彼の発言を信じた様子だった。
(バッド君て……発言力があるよね…)
そう考えているとバッド君はにこやかな笑顔で「じゃあそういうことでまた二学期ね〜」とクラスメイト達に手を振りながらみる香の腕を引いて教室を出ていく。
みる香は咄嗟に振り解こうとしたがそれはいつもの癖であり、バッド君から掴まれる感触に不快感は全くないことに気がつく。
そのままされるがままに教室の外へ出るとバッド君は「注目浴びちゃったねえ」と困り顔で後頭部を掻き始めた。
気がつけば掴まれていた腕はもう彼から解放されていた。
みる香はバッド君に視線を動かしそのまま向き合うとようやく口を開く。
「バッド君が友情に目覚めるなんて……変なの」
「あはは、やっぱり信じられない? まあ俺もそう思うよ」
「でも信じるかな」
「ん?」
みる香はバッド君に背中を見せると顔だけ向けて彼を振り返る。そのまま笑顔で言葉を続けた。
「だってバッド君が私と友達になってくれたのは間違いないからね! 私嬉しかったもん!」
そう言ってみる香は彼に笑顔を向けたまま大きく手を振る。そのまま「じゃあまた夏休み」と言葉を残しその場を離脱した。
バッド君はみる香に手を振り返すように片手を上げてくれているのが遠目からでも分かった。
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