第二十二話『涙を拭う』

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 八月に入るといよいよ夏休みも後半に感じられる。みる香は宿題を進めるため檸檬の家で宿題に取りかかった。流石に一日では終わらなかったが、檸檬が空いている日に何度か檸檬の自宅まで足を運び宿題に取り掛かる作業を繰り返していた。  途中で休憩を挟みにコンビニまで歩いたり、恋バナなどをして楽しんだりと友達らしいことがたくさんできたみる香は宿題が進んでいるのも合わさって充実感のある夏休みを過ごしていた。  宿題も残り三分の一となったある日バッド君から連絡が来た。突然の電話だった。 『やっほ〜みる香ちゃん元気? 今日の夕方空いてるかな?』  突然の電話に唐突なお誘いである。今日は特に予定はない。みる香は『空いてるけど……』と言いながら何に誘われるのか想像してみる。が、バッド君の提案は予想不可能なものばかりだ。考えても仕方がない気がした。  するとバッド君はみる香の予想通り、予測不可能な誘い文句を口にした。 『夏祭り行こうよ。桃田には声かけたんだけど、夕日さんとかも予定が空いてたら誘ってみてさ』 『え!?!?!?』  それはあまりに予想外で、魅力的なお誘いだった――――――。夏祭り。それはみる香がいつかは友達と訪れたい催しの一つであった。
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