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「ちょっと! 何みる香ちゃんに変なこと言ってんのよ」
すると突然みる香が待ち焦がれていた桃田が二人の前に現れた。会計は無事に終わったようだ。桃田は両手にフランクフルトを持ちながら二人に一本ずつ渡してくる。
「思ってたより混んでたわ、急に消えてごめんねみる香ちゃん」
「ううん全然! フランクフルトありがとう!」
みる香はそう言って小銭を桃田に渡すが、桃田はそれを返してきた。
「頼まれてもいないのに貰うわけにはいかないわ。私が食べたかっただけだもの。その代わり、後でかき氷を奢ってくれない? 私ブルーハワイが食べたいの」
桃田はそんなセリフを告げてウインクをしてみせる。みる香はそういうことならと桃田の提案を承諾した。フランクフルトとかき氷の等価交換だ。
おそらくみる香の性格を知っていてこのような提案をしてきたのだろう。桃田は本当に気の利いた性格をしている。みる香は桃田とバッド君の三人で暫く屋台をまわり始めた。
食べ歩きをしながらヨーヨー釣りをしたり、射的で遊んだり、福笑いをして遊んだりする。
このお祭りは二人のことがよく知れる良い機会でもあった。例えば桃田は射的が見事に百発百中だった。
これはみる香も開いた口が塞がらず、桃田の長所を知る事ができた。そしてバッド君はヨーヨー釣りやスーパーボール掬いなどすくい網を使ったものは何でも掬い上げてしまっていた。
二人とも達人並みの凄さである。祭りの最中でも皆から注目されており、そんな二人がみる香は誇らしかった。この二人のことが、いつの間にかみる香は大好きになっていた。
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