第二十三話『宿題会』

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「みる香ちゃんは警戒心強いよねえ、まあ俺としても安心だけどさ」 「? 男っていうよりバッド君を信用してないんだよ、日頃の行いでわかるでしょ」 「ひどいな〜まあその通りなんだけどね」  そんな話を交わしながらみる香は宿題をテーブルに広げた。そしてバッド君は話を宿題の内容へと変えてくる。 「じゃあ早速だけど、始めようか」  それから集中して宿題が始まる。バッド君も宿題が残っていたようで互いに残りの宿題を済ます作業を続けた。一日では終わらない量ではあるが、残りはあと僅かとなっていた。スマホの通知音が鳴るとみる香はようやく集中力が切れる。 「そろそろ休憩しようか」  バッド君の言葉でみる香は素直に頷いた。今日彼が宿題に誘ってくれて良かったと思う。きっと一人では自分に甘えて、最終日に大変な思いをしていたはずだ。みる香は雑談がてらにその事を言ってみるとバッド君はそうなの? と嬉しそうに声を出していた。 「バッド君が宿題残ってて良かったよ。誰かと一緒にするのが一番捗るよね」 「そうだね。今日は来て良かったなあ」  バッド君はそう言ってみる香を見つめると本当に嬉しそうに柔らかい笑みを向けてくる。この意味深な笑顔は一体なんなのだろう。 「なんでそんな嬉しそうなの?」 「あはは、褒め言葉だからねえ。そりゃあ嬉しいよ」  そう言ってバッド君はテーブルに置かれたジュースを片手に口をつけると満足そうにコップをテーブルに戻す。それから「そうそう」と言葉を続けた。 「夏休みはどうだった? まだ一週間はあるけど、充実したかな?」  その質問はみる香も少し、いやかなり期待していた。友達作りに協力をしているバッド君なら必ず聞いてくるだろうと思っていたからだ。それに、みる香もこの夏休みの思い出を他の誰でもない彼に話したいと自らそれを望んでいた。
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