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中間テストが終わり、テストの答案用紙を返却されたみる香は頭を唸らせていた。
「赤点……一科目だけある……」
最悪である。絶対に力を入れたいと思っていた科目を優先した結果がこれだった。流石に一学期のように十二科目にならなかったのは歓喜したいところだが、手放しでは喜べなかった。
(まあ仕方ないか……一時間だけ補習受けるだけだ…し……)
そう思い込もうとしてはいても、しかし補習はやはりショックである。ため息を吐いて机に突っ伏していると机から飛び出たみる香の手にある答案用紙を誰かが抜き取った。
「あれ、みる香ちゃん補習だねえ〜」
「!!!」
その声で顔を上げる。バッド君だ。一番見られたくなかった。以前、彼に補習にはならなさそうだと得意げに話していたことを思い出す。
みる香は悔しい気持ちのまま彼を見つめ、己の反省点を口にした。
「生物は……なめてた。駄目だね、ショックだよ」
そう言って落ち込んでいるとバッド君はみる香の頭に優しく手を置いてきた。
「みる香ちゃん随分落ち込んでるけどさ、一学期の自分を思い出してみなよ。ほら、前回は全科目で今は一科目、十分成長していると思うけどな」
そして柔らかい笑顔で笑いかけてきた。好きな人にこんな言葉で慰められるなんて、自分は何て幸せ者なのだろう。
みる香はそんなことを思いながら彼の優しい言葉に心が軽くなる。そう言われると単純にも確かにそこまで落ち込む事はないかもしれない。
「ありがと。バッド君」
「本当のことだからね、今度は生物にも力入れて勉強しようか」
そしてそんな約束をしてくれる。バッド君はこれまでみる香との約束事を破った事はなかった。だからこの約束はきっと絶対に果たしてくれる。
みる香はうんと頷くとバッド君も爽やかな笑顔を向けてくれた。
「森村ちゃん、私補習だよ〜」
途端に教室の扉から入ってきた檸檬が残念そうな顔をしてみる香の元へやってきた。檸檬の言葉でみる香は驚く。
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