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「えっ檸檬ちゃんが!? 珍しい……何の教科?」
「いや〜今回の範囲苦手で勉強捗らなかったんだよね、生物だよ」
「私も生物補習だよ!」
「え、ほんと!? 良かった〜一人じゃ心細いし」
予想外なことに檸檬と同じ補習になり、みる香は安心感を得た。
友達の補習を喜ぶのはいい事ではないだろうが、二人で一緒に補習に参加できるという状況が嬉しいと思ったのだ。
そしてそんなみる香の心を読んだかのようにバッド君は「良かったね、みる香ちゃん」と声をかけてきた。
みる香は彼の方を振り向くとバッド君はみる香を見つめながら、不意にテレパシーを送ってきた。
『もし君が一人なら、俺も参加しようと思ったけど大丈夫そうだね』
(え?)
そのテレパシーに気持ちが動く。バッド君はまたみる香と共にテストを改ざんして補習に参加しようと思ってくれていたのだろうか。
そう思ってくれたことに喜んでしまうみる香はしかし感情を表に出すまいと表情に力を入れる。
『大丈夫! でもありがとね』
そう返した。みる香はもう一度バッド君の顔に目を向けると彼は優しげな顔でみる香を一見して、口元を緩めていた。
実を言うと本当は、彼にも補習に参加してほしい。
しかしそんなあまりにも身勝手な事は、望んではいけない。思ってくれただけで満足するべきだ。
それに彼のテストを赤点に改ざんすれば、損をするのはバッド君なのだ。そんなのは嫌だった。
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