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第三十話『嫉妬心』
ハロウィンパーティーは想像以上の規模で行われた。
これは知らなかった事なのだが、どうやら颯良々の家はお金持ちのようだ。
大袈裟などではなく家の規模がみる香の家の何十倍もあった。
家にはお手伝いさんと呼ばれる人も五人ほどいた。お城といってもおかしくはない。
メンバーは思っていたよりも大人数が集まっていた。
みる香にバッド君、主催者である颯良々に桃田、檸檬、星蘭子、莉唯と以前ダブルデートをした天使の伊里、そしてまだ関わったことのないD組の女の子が三人来ていた。
せっかくなので十人ほど集めたいと颯良々が言っており、しかし呼ぶほど親しい友達は既に出尽くしていたためみる香はバッド君に相談をしていた。
そして彼は桃田に話を通し、彼女のクラスの女の子を数名誘うことになったのだ。
三人とも柔らかい雰囲気の女の子達で話しかけやすそうだ。桃田の事だからきっと人選をしてくれたのかもしれない。
(もしかしたら友達になれるかも)
そんな淡い期待も抱くみる香だが、一番期待をしていたのは友達作りではなかった。
みる香はパーティーの中、楽しそうにD組の女の子達と話をするバッド君に視線を向ける。
(バッド君に後で話しかけよう)
彼が今回パーティーに来てくれたことが本当にうれしかった。
最後のことは考えず、今は今のこの時間を楽しみたいのだ。ゆえに何の隔たりもなくバッド君と楽しい話をしていい思い出を作ろうとそう考えていた。
バッド君に視線を向けたままそう思っていると、突然バッド君はこちらを振り向き、目が合う。瞬間、動悸が激しく鳴り出すみる香に彼はテレパシーを送ってきた。
『みる香ちゃんどうかしたの? せっかくだからこっちおいでよ』
(え)
そう思ったのも束の間、バッド君は手招きしながら大声で「みる香ちゃんちょっと来て」と口頭で呼んできた。
バッド君の周りにいるD組の女の子達は少し驚いた様子でみる香に目線を向けてくる。
(嬉しいけど……)
呼ばれたみる香は断るわけにもいかず彼の方へ足を進める。少し気持ちがこそばゆい。バッド君とは話をしたかったが、こうしていざ多人数のいる場で話すとなると緊張している自分がいた。
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