第三十話『嫉妬心』

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「桃ちゃん……これから言う事、誰にも知られたくないの。でも聞いてほしい」 「勿論よ。今結界を張ったわ。これで半藤にもあなたの行動は隠される。もう話しても私にしか聞こえないわよ」  結界は契約者であるバッド君にも効果があるようだった。バッド君に知られることがないと分かったみる香は桃田の言葉でずっと相談したかった心のモヤを打ち明けることにした。 「私……バッド君がすき…………好きに…なっちゃってた……」 「誰にも知られず隠し通したかったけど、バッド君が他の子と楽しそうにしてるのを見るのが辛い……苦しい…」 「私、長谷川さんのこと、凄くいい子だと思うのに……二人を見てると嫌な気持ちになって最低な感情が湧いてて……そんな自分が嫌なんだ」  みる香は流れ出る涙を手で拭いながら今自分が感じていることの全てを桃田に明かした。桃田はずっとみる香の背中をさすりながら、静かに話を聞いていてくれた。  時間がどれだけ経ったのかは分からない。しかししばらく泣き続けたみる香はようやく落ち着きを取り戻すと静かに見守っていた桃田が声を上げた。 「ねえみる香ちゃん、あなたの気持ちよく分かったわ。だけどね、嫉妬って誰にでもあるのよ」  そう言ってみる香の瞳に目を合わせてきた。 「長谷川さんに対する嫌な感情は半藤を思うからこそなのよ。だからそんな風に自分を責めることはないわ。私だって、彼氏が他の女と楽しげに話していたら嫉妬するわ。そういうものなのよ」  桃田がみる香に対し、言葉を選んで話してくれているのがよく分かる。  桃田は薄く笑みを向けながらそのまま言葉を続ける。
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