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第三十四話『知らない一面』
十一月も後半を迎えると気温が下がり始め、寒さを感じ始める。みる香はマフラーを身につけ玄関を出るといつも期待しているバッド君の姿はなかった。
(期待しちゃうの良くないな)
バッド君が毎朝登校時にみる香の家まで来るという約束をしたことは一度もない。来ない日があるのは当然である。
みる香はそう言い聞かせながら門を出ると突然レインの通知が鳴った。
バッド君かと期待したが、相手は以前登録した公式ショップからの通知でその画面を見て大きくため息を吐く。
(バッド君の事、日に日に好きになってる気がする……)
三月まではあと五ヶ月を切った。みる香が彼と共に過ごせるのは残りのその期間だけだろう。
しかしそれでも、バッド君へ想いを伝えようとは思わなかった。
みる香にあるのはただ彼と楽しく過ごす事、それだけだ。
みる香は改めて自分の気持ちを再確認するとそのまま学校へと向かっていった。
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