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バッド君との約束の日はあっという間にやってきた。
期末テストは苦手な数学と前回油断していた生物をギリギリ赤点回避することが出来、みる香には明るい冬休みが待っていた。
テスト返却も終わり終業式の日の放課後、バッド君から一緒に帰ろうと誘われ二人で寒い路地を歩いていると彼はどこに行きたいかをみる香に尋ねてきたので、行きたいと思っていたショッピングモールを提案した。
バッド君はその意見に賛成し冬休みの初日は彼と出かける日となった。そう、デートである。
(バッド君はデートなんて思ってないだろうけど)
そんな事を思いながらみる香は無意識に着ていた服を鏡で確認する。
いつものような短めのトップスにオーバージャケットを羽織り、ボトムスはストレートジーンズである。この格好でデートに行くのは何だか、気が乗らなかった。
(可愛いと思って買ったけど一度も着てないワンピースあったな……)
何を思ったのか、一度も着たことがないような系統の可愛らしいワンピースを一着だけ購入していたみる香はタンスにあるそれを取り出し着用する。
「に、似合ってない……?」
あまりにも着たことのないその格好にみる香は違和感を覚えた。鏡の中に映る自分の姿を客観的に観察した後、頭を左右に振って元々着用してい服に着替え直す。
しかしやはり味気のないこの格好に再び悩み始めたみる香はそのまましばらく鏡と睨めっこをしていた。時間はまだ早朝の五時だった。
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