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「映画面白かったねえ」
今有名なアクション映画を見終えた二人はフードコードの椅子に座りながら映画の感想を言い合った。
意外だったことは二人ともアクション映画が好きだという共通点を持っていたことだ。
アクション映画の話に花を咲かせたみる香とバッド君はしばらくそこで話し込み、互いのアクションに対する熱を曝け出していた。
「みる香ちゃんがアクション好きとは思わなかったよ。オススメがあったらまた教えてほしいな」
「いっぱいあるよ! 今度リスト化してレインするよ」
天使であるバッド君も娯楽には興味があるようで特にアクション映画には目がないようだった。
そんな事を新たに知ったみる香は自身と同じ共通点に喜びを隠せずにいた。
そのまま昼食を摂りながら雑談をしていると話題はいつの間にか学校の友達の話になる。
そこでみる香は檸檬や颯良々の三人で勉強会をした時の話を持ち出した。
「さららに聞いたんだけど、バッド君あの時怒ってくれてたんだね」
そこで文化祭の時の話を聞いたことも彼に話した。みる香も直接彼に確かめてみたかったのだ。
「私を保健室に連れて行ってくれた後、そんなことがあったなんて知らなかったよ」
そう言うとバッド君は頬杖をついた状態で「みんな口が軽いなあ」と困ったような顔をして笑っていた。そんな彼を見つめ返しながらみる香は言葉を続けた。
「バッド君もそんな風に怒ったりするんだね」
「そりゃあ俺だって感情があるからね、境界線は持っているつもりだよ」
「私もバッド君怒らせないようにしないとな」
みる香はそう言うとバッド君から目を逸らした。彼を怒らせてしまったら、きっとそれがバッド君との縁の切れ目だ。彼との縁の切れ目は契約解除の日でありたい。
そう思っていると彼の意外な返答がみる香の耳に入ってきた。
「あはは、安心してよ。みる香ちゃんに怒ることなんて絶対ないからさ」
「……え?」
やけに言い切る彼の発言にみる香は意表をつかれる。絶対ないと断言をする理由は何なのだろうか。
みる香は率直に「何で言い切れるの?」と問いかけてみた。するとバッド君は「ん?」と言いながらニコリと笑みを向け、その質問に答える。
「みる香ちゃんが俺の境界に触れることはないって分かるからね」
「ふーん?」
今ひとつ納得のいかない答えではあるが、友達だから多めにみるとそういうことなのだろう。バッド君は友達に義理堅いのかもしれない。
そう考えることにしてみる香は残りの時間を後悔のないように楽しんだ。
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