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正月を迎えると親戚同士の集まりが始まり、あっという間に冬休みは残り三日となった。
宿題も無事に終わりみる香は自宅に遊びにきた従姉妹の森村亜実音と二人でコンビニに行くとそこで偶然にもバッド君に出くわした。
「バッド君!?」
「みる香ちゃん、偶然だねえ〜」
「誰このイケメン!!!!!! みるちゃん!?」
それぞれの言葉が行き交う中、三人は近場の公園に足を運び、雑談することになった。予想外であるが嬉しい展開だ。
もう冬休みは会えないと思っていたバッド君とこうしてまた会えたからだ。
みる香は一学年上の亜実音を彼に紹介し、彼女にバッド君を紹介する。
亜実音は終始バッド君のことをかっこいいと言い続け、恋人がいるにも関わらず連絡先を聞いていた。
亜実音は昔から面食いで知り合うたびに連絡先を聞く癖があった。今回も特に深い理由などなく、聞いているのだろう。
しかしバッド君は爽やかに笑いながらも珍しく断っており、みる香は不思議な気持ちでその様子を静観する。
(そういえばなんで最近、女の子と一緒にいないんだろ)
ふと思った。バッド君のプレイボーイな噂を聞かなくなったのは彼が女の子との噂が出ないように上手く隠れるようになったのだと、今まではそう思っていたがそれは間違いだった。
バッド君は、本当に女の子との関わりを持たないようになっていた。それは年末年始の時に彼の方から直接話を受けていたからこそ知っている情報だった。
『もう一つ君が勘違いしてることがあるから言っておくけどさ、俺今はどの女の子とも繋がりを持っていないからね』
みる香を特別な友達だと打ち明けてくれたあの日、時間を置いてから再び彼に発せられた言葉だった。
女の子とは今、誰一人関わりを持っていないのだとそう彼は断言していた。
バッド君は嘘をつくこともあったが、あの言葉は嘘には見えなかった。何よりその言葉を信じたいと思った。それは単純に好きな相手を、信じたいと思うからだ。
しかしなぜ彼がそれをわざわざみる香に話すのか、なぜ女の子との関わりを断ち始めたのかは謎のままだった。
仮にも、本当に仮の話で、万が一にバッド君がみる香の事を一人の女として特別に思っているのなら、それも納得はいく。だがみる香は友達だ。謎は深まる。
(バッド君が、女の子と一緒にいないのは嬉しいんだけど……気になるなあ)
本当に不思議だ。そのままバッド君を見つめていると彼もこちらの視線に気付いたのか目が合う。
みる香は咄嗟に視線を逸らして赤くなった顔を誤魔化そうと頬を叩き始めるとバッド君は「みる香ちゃんどうかしたの?」とこちらの両手首を掴み、自身の頬を叩くのを阻止してきた。
「!?」
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