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今、自分は何をしているのだろう。ここはどこだか分からない。なぜ、こんな気持ちになっているのだ。どうして…………涙が
「なんで…………?」
みる香は光に包まれながら泣いていた。眩しいからではなく、心の底からくるものだった。それが何かは……いや、何かというのは……
友達が出来なくて泣いていた。泣いていたのにそんなみる香にハンカチを差し出す男がいたのを思い出す。彼は――○○○○と言っていた。
変な契約を交わした。みる香は次第に友達が出来て――幸せだと心から思った。性格は最悪だったが○○○君はいつも必ず、サポートをしてくれていた。
友達になりたいと思った。○○ト君も同じ気持ちだと知って嬉しかった。二人で出かけた動物園も本当は凄く――忘れたくないほどに楽しかった。
好きだと気づいた。どうしようもないほどに愛おしくて、だけど○ット君と過ごせる時間が限られていることにも気付いた。怖かった。
最後に、好きだと言われ、全てがどうでも良くなるくらい嬉しく思った。彼は、バッド君は本当に、ずるい男だ――――。
記憶を消される直前、彼の温かな口づけが額に感じられて、好きだと儚げに告げる彼が堪らなく愛おしかった。本当に、ずるい。みる香は忘れてしまうというのに自分だけ、こちらが喜ぶことをして本当に――ずるすぎる。
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