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「やめたほうがいいですよ。それか、お酒飲むなら、ひとりにならないほうがいいです。自分で言うのもなんですけど、違う人だったら絶対危ないと思います」
「いつもは人に声かけたりしないですよ!」
「それなら良いんですけど……」
言葉とは裏腹に疑いの目を向けられた。ほんとですってば。
会ったばかりのわたしのことを心配してくれるなんて、やっぱりいい人だなあと笑った。見ず知らずの人をいきなり家に入れた話をしたら、さすがに彼も驚いてくれそうだけど、うんざりした表情をされそうだ。それか冗談だと思って取り合ってくれないかな。
名前はルナと呼んでほしいと言うので、わたしはサンを名乗ってみた。今日このあたりをさまようことになったのは、一緒に住んでいる友達が他人を入れないという約束を破って彼氏を連れ込んでいたので、飛び出してきたらしい。
仲間意識を持って、わたしも彼氏に約束を破られたことを話した。自己紹介を交えてお互いの事情を聞きながら、コンビニで買い物を済ませた。
同年代ということとお酒の力もあってか気軽に話せるようになるまでそう時間はかからなかった。
「めっちゃおいしそうな塩ラーメンだね。ルナは味噌じゃなくて良かったの? せっかく味噌も買っといたのに」
「たまには塩もありだなーって食べたくなっちゃった」
「そっか。じゃあ味噌あげるから持って帰って」
「やったー。ありがたくもらってくね」
ルナに手伝ってもらったラーメンをテーブルに運ぶ。身長が高いルナは足の低いテーブルの座り心地が悪そうだったけど、わたしが出したクッションに寄りかかって「最高」と笑ってくれた。
ゆらゆら湯気が立ったおいしそうなラーメン。
普段わたしが食べるときよりもお店で出てきそうなラーメンになった。野菜がたくさんで、チャーシューもあって、何よりゆで卵を絶妙な半熟にしてくれたのが素晴らしい。
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