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世界が滅亡してしまえばいいのに。そう思ったのは数分前のことだ。通知の音がする度に身体が痙攣する。
神様も寝静まる丑三つ時、ベッドの上で顔も知らない誰かに攻撃を受け続ける。通知を切ればいいと人は簡単にそう言うけれど、そんなことをしたって僕への誹謗中傷が消える訳でも何でもない。
父も母も、初めのうちは心配こそすれ、突然出かけたと思えば気でも狂ったように銀色に髪を染めてきた僕についに愛想をつかしてしまった。学校なんてもってのほか。
ピアッサーを買ってきて、自分で耳に穴を開けた。痛かった。だけれども、その痛みすら僕にとっては薬だった。
気が狂ったわけじゃない。気が狂ったふりをしていないと呼吸ができないだけだ。
髪を染めた。ピアスを開けた。
あの日からずっと、自分じゃなくなれたらと願っている。
それなのにいつまでたっても自分にしかなれない。
それがひどく――息苦しい。
「チッ」
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