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 そのあと、僕らは学校の近くの河原でふたりで座って、水が流れていくのを見つめていた。  距離は近い。  触れあっている微かな部分からぬくもりが伝わってきた。  右肩、大きさにすれば10㎝四方にも満たない小さな面積。  言葉とかそういうものじゃなくて、ただぬくもりがあった。それだけが僕らの繋がりだった。  僕の隣で前を向いている赤い目をした楠田さん。  僕と同じところなんてひとつもない。顔も、身長も、性別だってまったく違う。彼女はいつだってお茶目でリーダーシップもあって、誰からも好かれるような“委員長”という言葉を身に纏っているような人。  でも、心のどこかが確信している。ひとつ何かが違えば僕は楠田さんになっていたし、楠田さんは僕になっていたって。
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