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「ああ、申し遅れたな」
えへん、と咳ばらいをしたローブ人間は。
「私は、記憶を盗む、記憶泥棒だ」
記憶泥棒? 何だそれ。
「私はいい泥棒だからな、記憶を失くしたい奴からしか盗まん」
「それはだいぶ……ビジネスみたいな、」
金でもかかるのか。
「ウィンウィンの方がいいだろ。それに、黙って盗むのはポリシーに反する」
随分と正義感に溢れた泥棒だ。そう思って、自分がこの理解しがたい状況を受け入れいていることにハッとした。
「ほんとに何なんですか、警察呼びますよ」
スマホに伸ばそうとした指が触れたのは、闇。
「……警察を呼んだらもちろん私は逃げるから、オマエはずっと今のままだが?」
記憶泥棒の言葉に、どくりと大きく心臓が鳴った。
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