Ωの存在

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 叶芽から質問していると、今度は百瀬から質問が来る。 「君のその制服って聖雷高校じゃない?僕、見たことある」 「え?ああうん」  叶芽が通う聖雷高校は金持ち高として全国的に有名である。 「Ωなのに柊君ってお金持ち?」 「え?いや、それは………」  突然そんな事を聞かれて困惑しているとすかさず渚が間に入る。 「カナちゃんは頭がいいんだよ。 努力の賜物だと思う」 「いや〜それ程でも……」  渚に褒められて叶芽は謙遜するも照れて、満更でも無い様子。  けれど百瀬は納得していないようだ。 「でも学費って凄く高いって聞くよ。 君の親って凄いんだね」 「ちょっと百瀬!!」  流石にズカズカと入り過ぎと渚が注意すると、ごめんなさいと謝罪する。 「大丈夫。まぁ確かに、両親共なんやかんや俺の為に頑張ってくれてるから感謝はしてるかな」  父は言わずもがな叶芽には甘いが、躾など教育はきっちりやるタイプだし、母も厳しい事ばかり言うが、いつも叶芽の為を思っているので、感謝している。 「そう……柊君が羨ましいな。 僕の親は僕の事嫌いだから……」 「………えっと」  そう言われてはどう声を掛けていいか分からない。  同じΩだが境遇は正反対の為、叶芽とは話しが合わない。  気まずい雰囲気の中、漸く料理が運ばれて来た。 「いただきます」  叶芽は助かったとどんよりした空気ノ中、手を合わせてパスタを食べる。  そんな中で、カツ丼を食べる百瀬の箸の持ち方に目が行った。  独特な持ち方をするなと。  共通点はΩだけで、どうも接しづらいなと叶芽は感じた。  食事を終えて解散する。 「ごめんねカナちゃん。 本当は途中まで送ってあげたかったけど………」 「いいよ、どうせ近くまで迎え来るし」  本当なら叶芽と少し歩いて、藤堂が運転する車まで送る予定だったが、今回は百瀬も一緒なのでそれが出来なくなった。 「今度はちゃんと時間取るから」 「うん。じゃあまたね」 「うん………」  そう言って叶芽を見送った渚は百瀬と向き合う。 「百瀬、今日どうするの? 家、帰りづらいんでしょ?」 「………うん」 「じゃあうち来る?」 「え、いいの?」  行く場所が無いなら仕方が無い。
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