Ωの存在

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Ωの存在

 そろそろ渚を両親と叔母に紹介しないとと、後日渚と電話をした。  じゃあ近い内にそう言った日程を立てようと、今度会った時に話し合う事にした。  そして二学期へと移り変わり、それぞれ学校が再開する。  渚も久々に学校に登校してクラスメートと再会し、休み時間に夏の思い出を語り合う。  そんな中、何やら甘い香りが漂ってくる事に気が付いた。 「ねぇなんか甘い匂いしない?」 「匂い?……いや、しないけど。 お前分かる?」 「いや、俺も分かんない」  そこで渚は気付いた。  ああこれ、Ωのフェロモンだと。  叶芽のフェロモンの匂いとはまた少し違うが、周りは分からないようだし何より渚の体が少し熱くなって来ている。  この学校にΩなんていたのかと言う驚き、そしてこのまま当てられてしまうのはまずいと、渚はちょっと体調悪いと教室から離れる。  保健室にでも行こうかと考えるが、もしこの匂いがΩならそれこそ保健室へ行くだろうと渚は取り敢えずトイレの個室へ移動した。  身体こ火照りが落ち着くまで暫く籠もり、休み時間が終了するチャイムがなる頃教室へ戻る。  教室へ戻るとあの匂いは消えていて、何事も無く授業を受ける事が出来たが、其後クラスメートがこんな事を言っていた。 「なぁ宮市、お前αだよな?」 「……それが何?」  渚はαである事を話題にされるのが嫌いだ。  それはこのクラスメートも知ってるが、あえてそれを話題にしてきた。 「いや、実はささっきお前が教室出てった時、隣のクラスでΩがヒート起こしてたらしくて……それでお前出てったのかなって」  やはりあの匂いはΩだったらしい。  けれど一つ気になる事がある。 「え、てかこの学年にΩっていたっけ?」  Ωがいるなんて渚は知らないし、聴いたことが無かった。 「らしいよ。俺も初めて知った。 まぁ、隠してたんだろうな」  Ωである事を隠していたのなら渚が知らないのも無理はない。  そして今回で知られてしまったのは気の毒だと思うと同時に、隠さなくても平穏に生きられたらいいのにと、叶芽の顔が脳裏に浮かぶ。
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