Ωの存在

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 そうやって学校で一緒にいる事が多くなった二人だが、この日渚は百瀬との帰り道にスマホで叶芽とメッセージのやり取りをしていた。 「ねぇ宮市君」 「ん?」 「僕、今日家にすぐ帰れないんだ」  不意にそう言い出す百瀬に、どう言う事かと訊ねる。 「今日、お母さんの恋人って人が家に来てて、僕の事邪魔みたいだから……」  母親の恋人が家にいて、家に帰りづらい。  だからどうしようと渚に相談してきた。  どうしようと相談された渚だが、これから叶芽と会う予定である。  けれど百瀬を放ってはおけないので、色々考えた末、取り敢えず彼を連れて叶芽と会う事にした。 「そう言うわけなんだ。 だからさ、今日はどっかお店とか公園とかで会うのでもいい?」  一応叶芽へ許可を取り、百瀬も一緒に連れて行く。  叶芽も事情を聞いていいよと言ってくれた。  そして待ち合わせの場所へ行くと叶芽が既に待っていた。 「ごめん、待った?」 「ううん、えっと……そちらが………」  叶芽が百瀬の存在に気付いて訊ねてくるので、紹介した。 「初めまして、柊叶芽です。 えっと、俺に出来ることがあれば力になります」  母親以外では初めて会うΩだ。  それに同世代なので、叶芽自身も友達になれるかもと少しワクワクしていた。 「どうも、百瀬です。宜しく………」  握手しようと叶芽は手を差し伸べたが、握手をしてくれなかった。  もじもじとして目もあまり合わせてくれないので、人見知りなのだろうと叶芽は考える。  三人は取り敢えずファミレスへ移動した。 「ごめんカナちゃん、ファミレスで……」 「俺は何処でもいいよ」  本当なら高級料理店がいいだろうに、叶芽は一切文句も言わないで貧乏人に合わせてくれて申し訳無いと渚は謝る。  席へ案内された三人は早速メニューを見る。 「百瀬も好きなの頼んで。 俺が持つからさ」 「あり…がと……」  そして叶芽はパスタ、渚はステーキ定食、百瀬はカツ丼を頼み、ドリンクバーも追加した。  ドリンクを飲みながら食事が来るのを待って、その間会話を交わす。 「えっと……百瀬…さんはΩなんだよね?俺も同じなんだ」 「うん、宮市君から聞いた……」 「そっか…あの、抑制剤は持ってる? 無いなら俺持ってるし」  渚から抑制剤が無いと聞いたので、心配になる。 「大丈夫。昨日お母さんにお金貰って買ったから」  学校でヒートを起こしてしまった事は親に学校から連絡が行ったので、流石に母親もマズいと百瀬にお金を渡して買いに行かせた。
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