Ωの存在

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 そうして家に連れて行くと兄弟と母親が出迎える。 「お帰り〜って誰?」 「百瀬充くん。学校が同じで、今日もしかしたらうち泊まるかも」 「ふ〜ん」  がやがやと騒がしく周りに集まってくる兄弟達に百瀬はびっくりしたように渚の後ろに隠れる。 「ほら百瀬が怖がってるから囲まないの」  渚は弟達を百瀬から遠ざける。 「ごめんね。あいつらお客さんに興味津々なんだよ」 「うん………」  兄弟のいない百瀬は騒がしい家庭に慣れておらず、戸惑っている。  だから渚の傍から離れようとしない百瀬。  仕方ないので、取り敢えず子供部屋に連れて行き、弟達には百瀬が怖がるからそっとしておいてやってと頼む。  そんな渚に唯人が彼についてどんな人なのかと聞いてくる。  正直渚が友達にするタイプには見えない。 「ちょっと色々と訳アリの子だから、あんま刺激しないで」 「訳アリ?」 「まぁ………」  言葉を濁す渚に唯人は少し不信感を抱く。  そして何と無く感じた事、それは……… 「……Ωとか?」 「………」  当たった。  何と無くで言ったが、小柄で可愛らしい感じの彼を見たら、何と無くそう思った。  叶芽よりも小柄で、仔ウサギのような雰囲気だと思った。  因みに叶芽を最初見た時は血統書付きの美猫のようだと思った。 「Ω………もしかして兄ちゃん浮気か?」 「はぁ?なんでそうなるの⁉ 大体カナちゃんにも紹介したし、色々家が大変みたいで………」 「大変って?」 「それは………プライバシーもあるからこれ以上言えない」  あまり他人の事情を家族とは言えペラペラ喋れない。  唯人も渚が言えないと言えば、これ以上踏み込めない。  仕方ないのでリビングで大人しくしている事にする。  すると今度は母親が渚に唯人と同じような質問をしてきて同じように答えるが、母親は納得してくれない。 「ねぇ、親御さんはここにいること知ってるの? 家庭の事情が何だろうが、一応連絡しないとトラブルになるわよ」 「う…ん………」  流石母の言葉はご尤もだ。  取り敢えず渚は百瀬に家に連絡するよう促すが、躊躇している。  正直母親とあまり話したくなかったが、それでも渚がどうしてもと言うから、彼の電話を借りて母親に電話した。
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