Ωの存在

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 母親に電話した百瀬は怯えた様子でボソボソと渚の家に泊まる事を話していた。  百瀬が言うには好きにすればと、少しキツめの口調で言われた。  それは横で聞いていた渚の耳にも届き、少し不快感を抱いた。  けれど取り敢えずこれで泊まりは大丈夫だ。 「えっと百瀬、風呂入る?」 「でも着替え……」 「パンツならまだ使ってない奴あるし、服も唯人……弟ので良ければ」  きっと渚の服だと大き過ぎるので、唯人のなら少々大きいかもしれないが着られるだろう。  百瀬もそれに甘えて風呂に入り、そして唯人の服を借りる。  若干大きいが誤差の範囲だろう。  そして今回は渚のベッドで寝る事になった。  因みに渚は末っ子の瑠樹と少々狭いが一緒に寝る事になり、瑠樹は久々に兄と寝る事に喜んでいた。  すると唯人が百瀬に話しかける。 「なぁ、アンタってΩって聞いたけど。 あ、俺唯人、中3」 「………」  そう話し掛けると百瀬は唯人を警戒する。 「別にΩだからなんだとか言わねぇよ。 兄ちゃんの恋人もΩだし」 「………柊叶芽君?」 「まぁ……」  そう言えば叶芽も知っていると渚が言っていたなと唯人は思い出す。  それにしても叶芽とは違い、気が弱そうで根暗そうだと感じた。  明るくて大らかな叶芽とは対象的に思えた。 「家の人とあんま関係良くないのか? だったら明日もうち泊まるとか?」  唯人としては彼について何も知らないし、家に泊まるなら色々と気になってしまう。 「………そんなの分かんないよ。 君はいいよね。家族みんな仲良さそうで………」 「それは……」 「だから君には僕の気持ちは分からないよ」  家族仲が良くない百瀬にとって、家族みんなが仲良さそうにしているのは少し嫉妬してしまう。  どうして自分だけと………  だが、君には気持ちは分からないと吐き捨てられた唯人は、少しカチンと来た。  確かに気持ちなど分からない部分はあるかもしれないが、初対面で初めて会話を交わして出た言葉がそれなのはどうなのか?  もう少し言い方と言うものがあるのではと思った。  唯人は渚を玄関の方に呼び出して彼について愚痴を言った。 「あいつちょっと失礼じゃね? 泊まるならちっとくらい話して仲良くしようかと思ったけど、なんか感じ悪い」
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