Ωの存在

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 弟達より少し早く支度し、朝食を作る母の手伝いをしていると弟達が起きて来て、また騒がしい一日が始まる。  出かける時間が少し早い渚のと中学生の唯人と菜々がいつも早めに朝食を食べる。  百瀬も一緒に食事を取るが、何と無く気まずい雰囲気だ。  と言うのも、百瀬は人が苦手なのか渚以外と目も合わすことなく淡々と食べているから無言だ。  そんな食事の雰囲気だからか、唯人て菜々はいつもより早めに食べ終わった。  そして食べ終わった頃に下二人が食事する。  そうやってあっという間に登校時間で、渚と百瀬は一緒に家を出る。 「昨日はちゃんと休めた? ごめん、うち騒がしかったろ?」 「うん……泊めてくれてありがとう。 助かった」  しかしながら今日はどうなのだろうか?  ちゃんと家に帰られるならいいが、そうじゃ無かったらうちにずっと置いとくわけにはいかない。 「今日は家に帰って大丈夫?」 「……うん、多分」 「そっか、良かった」  百瀬も実のところ渚の家ではあまり落ち着け無かったので、なるべく家に帰ろうと思った。  教室に入るとクラスメートと挨拶を交わす。  そのクラスメートの一人が渚の所へやって来る。 「あのさ、お前ホントに百瀬と付き合ってねぇの?」 「はぁ?なんでそうなるの? 無い無い、あり得ない」  自分には叶芽と言う可愛い恋人がいるのだから百瀬と付き合うのなど絶対にあり得ないが、それを知らないクラスメート達は、百瀬と最近親しくしているので違うと否定しても噂が消えない。  だからか、渚の事が好きな子からは敵視されているようだった。 「俺の恋人は他にいるんだよ。 なのに百瀬と付き合うわけ無いだろ?」 「え、お前恋人いんの?マジで?」  詮索されるのが嫌で黙っていたが、いっそここで恋人の存在を明かしてしまった方が楽だと思い、言ってしまった。  するとそれから渚の恋人の噂が流れ、多くの女の子が泣いたと言う。  一体誰なんだと渚の予想通り詮索されたが、他校の生徒だから探しても無駄だから放っといてと釘を差した。  そして百瀬の方は渚にフラれたなんて噂まで立っていた。  そもそも告白すらしていないと言うのに……  
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