背徳感と罪悪感

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「・・・っ、・・・んっ、ぁ」 「声を我慢しろっ」 目の前の棚に掴まって 背後からの突き上げに漏れる吐息は止められない せめてもと下唇を噛んだ刹那 強引に顎を掴まれて塞がれた唇は 今度は呼吸まで奪っていく 溶け出しそうな頭と飼い慣らされた身体は正直で従順にお強請りを始めた 耳から飛び込む水音は 打ちつけるように腰を振るたび粘度を増し 結合部が擦れるのに合わせて溢れ出す どこまでも上がる体温に合わせて艶めく肌は 最奥を抉られるたび甘く色付く 「・・・あゆ」 「・・・や、ぁぁ・・・っ」 彼を締め付ける内側が、その声に反応して僅かな隙間も埋めようと絡みつく 「名前呼ばれるの好きなのな」 喉を鳴らして笑うと同時に「キツッ」なんて秘芽を摘むから 意識が白みそうになる、寸前 動きが止まった 狡い ピンヒールを履いていても 到底埋められない身長差も 獣のように交わるだけで 奥を抉られるたび距離を縮めてくる 窓のない乾いた空間に 互いの荒い呼吸だけが木霊して ゆるゆると再開される動きだけで 一瞬で高まる高揚感と抗えない疼きが 踏ん張る爪先から駆け上がってきた 「・・・ゃ・・・も・・・」 このまま崩れ落ちたい 杭を打ち込むような動きに 意識が落ちようとした寸前 「我慢しろ」 悪魔の囁きが耳元で聞こえたと同時に彼の動きが、また止まった 「・・・・・・っ」 「なに一人で逝こうとしてんの?」 「・・・ご、め、んなさ、い」 「今日はお仕置きだろ?」 「・・・は、い」 「ん、良いこ、我慢しろよ」 「・・・はい」 イクことすら許されない 地獄みたいな時間に ただひたすら下唇を噛んで 耐え切ったあと いつもなら“ご褒美”って最後は逝かせてもらえたはずなのに 「またあとで」 喉の奥でクツクツ笑う彼は 自分だけ欲を吐き出して 何事もなかったみたいに身なりを整えたあと 身体中が疼いたままの私を常務室内の書庫に閉じ込めて出て行った 「・・・ハァ」 湿った息を吐き出して首から下げた名札に触れる 笑えるほど捻れたそれを直しながら 右の足首に引っ掛かった下着に視線を落とした 所在なく縮こまるそれを身につけるためにヒールを脱ぐと、その解放感にふらついた
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