嘘から始まる二人の話

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 そこで教えて貰ったのは、大の男嫌いだということ。痴漢によく遭うから。確かに岡本は美人だ。肌は白いし、髪は柔らかそうな猫っ毛。笑顔なんて可愛すぎて、男子はみんなやられてる。  男嫌いなんて勿体ない。岡本ならどんな人とでも付き合えそうなのに。まあそのおかげで、俺にもチャンスがあるというものだけど。 「どうしたら仲良くなれると思う?」 「うーん。騙すのはよくないけど、こういうのはどうかな?」  かよの提案で、涼介は男の人が好きな男になった。そのおかげか話しかけても答えてくれた。たぶんかよと仲が良いことも大きいだろう。  しかし一番の男友達になって、早六年。昨日の夜、やらかしてしまったかもしれない。ふいに漏れた本音。それを聞かれたかもしれない。 「もうさ、この際告白しちゃったら?」 「告白って、それはつまり俺が男の人好きだって嘘をついたこともバレるんだけど。絶対、絶交だろ。友里の性格からしたら」
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