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友里が男嫌いだということを知るのは、今は別の大学に通う親友のかよと涼介だけ。三人は同じ高校だった。高校まで電車通学していた友里は、よく痴漢に遭っていた。
『男なんてこの世からいなくなればいいのに。涼介以外』
が口癖だった。だから告白されても答えはNOしかなくて、大学生になった今でもそれは変わらない。
長い机の上に教科書とノートを置くと、涼介と並んで席に座る。ふわっとほのかに香る甘い匂いは、涼介の匂いだろうか。この香り好きだな。
「いっそ、言っちゃえばいいのに。俺と付き合ってるって」
「そんな嘘つけないよ。何より涼介に迷惑がかかるし。だって涼介、好きな人がいるじゃない」
涼介は一途だ。高校の時から一人の人を、ずっと想っている。なぜ告白しないのかは、涼介が男だから。
「迷惑なんてかからないよ。だって俺一生片想いだし」
「それいつも言うけどさ。思い切って伝えてみたら?そりゃ勇気はいると思うけど、一生片想いとか見てて辛いから」
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