嘘から始まる二人の話

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 返事が聞こえて中へ入るとすでに着替え終わっている友里が、振り返る。渡した涼介のパーカーはぶかぶかで、デニムも大きいからか裾をくるくると巻いていた。 「……これ、ドライヤー使って」 「涼介が先に使って。風邪ひいちゃう」 「それは友里もだろ。俺は下で着替えてくるから」  そう言うと着替えを持って、洗面所に向かった。ドアを閉めて、思わずその場にしゃがみ込む。ヤバイ、可愛すぎるんだけど。それに友里が俺の部屋にいる。かよと三人で遊びに来たことはあるけど、二人っきりは初めてだ。  ドキドキしながら部屋へ行くと、ぺたんと座りながら髪を乾かしていた。涼介は少し離れた所に座ると、バスタオルで髪の毛を拭く。 「ドライヤー、ありがとう」 「うん」  沈黙が二人を襲う。沈黙を破ったのは、友里だ。
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