嘘から始まる二人の話

26/26
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「土曜日、二人でカフェにいたでしょ?友里がたまたま目撃したんだって」 「何を?」 「私が涼介に、あーんってしてる所」  涼介は記憶をたぐり寄せる。確かにあったな、そんなこと。 「それでモヤモヤして、気づいたんだとさ」 「そうだったんだ。ん?もしかして、友里から相談されてたりする?俺のことが好きだって気づいて」 「さて、どうでしょう?」  これはされてたな。てことは、二人の気持ちを知っていて、俺に告白するように言ったのか。何だよ、悩んだのに。まあ、そのおかげで今があるけど。 「なんというか、ありがとな」 「いえいえ、あ。友里」 「かよ。と、涼介。お待たせ」  友里はかよの隣に座ろうとするが、かよが涼介の隣を勧めたため恥ずかしそうに涼介の隣へと座る。 「しかし、本当に良かったね。二人とも。しかし、まさか友里にヤキモチやかれるとはねぇ」 「かよ。それは秘密にって」  真っ赤になる友里の手を取ると、涼介はにこりと微笑む。 「じっくり聞かせて貰いたいな。かよにしか話してない俺への気持ち」 「涼介」  そんなやり取りをする涼介と友里を、かよが嬉しそうに見つめていた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!