嘘から始まる二人の話

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「俺と付き合ってくれない?」 「ごめんなさい」 「やっぱり進藤と付き合ってんの?」  その問いに友里は首を横に振る。その場から逃げるように駆け足で教室へと向かった。私服の学生達が楽しそうに話をする中、友里はきょろきょろと辺りを探す。 「まだ来てないのかな」 「誰が?」 「わっ。びっくりしたぁ。急に後ろにいないでよね」  ごめん、ごめんと笑うのは、同じ大学に通う進藤涼介だ。茶色の髪の毛はツーブロックに緩くパーマをがかかり、白い肌に高い鼻、大きめのグレーの薄手のニットにデニム。相変わらず今日も格好良い。 「呼び出しは告白だった?」 「うん」 「本当モテるね、友里は。でもみんな知らないから仕方ないか。友里が大の男嫌いだってこと」
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