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「あ、エリーお客さん待ってるよ?」
「分かった、すぐ行くから」
あの子達はこの時間から三時間も待つつもりだったのだろうか?男の子だけならともかく今日は小さな女の子も居る、お菓子の小袋をがしっと掴んで裏口のドアを開けた。
「お菓子をくれなきゃ…」
「分かったから!」
お菓子の小袋を男の子にぶつけるように渡すと後ろの女の子の方に向かった、だけど女の子は体をビクッと震わせ、男の子の後ろに隠れるように逃げた。
「あ、驚かせてゴメンね、お菓子…あげる」
女の子の顔はズタ袋で分からないけど、おずおずといった感じでお菓子の袋を受け取った。
仕事なのは分かるけど、働かなきゃ生きてけないのは分かるけど違うんじゃない!?
何で真夜中に、こんな小さい子が、こんな場所で、こんな格好してんのよ!?
何がハッピーハロウィンよ!?
「お母さんは…お仕事?」
男の子達は答えなかった、ただお菓子の袋を抱えて「ありがとう」とだけ言い残して路地の向こうに消えていった。
「エリーどうしたの?何かあった?」
店に戻った私に、マキちゃんが心配そうな顔して聞いて来たけど何も答えられなかった…。
「エリー…まぁ、ココはそんなもんだ」
ずっとこの街に住んでいる店長は今日も寂しそうに煙草をふかしていた。
「ね?優しいお姉ちゃんだったろ?」
「…うん」
「だからさ…もう行こう?」
「…うん、今度はお姉さんみたいなお母さんが良いな…」
劇終
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