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「エリー準備出来た?」
「もうちょっと〜…ねぇ〜マキちゃん、猫耳ズレてない?」
「大丈夫!行こっ!」
お店の小さな更衣室で暗めのゴスロリ衣装に猫耳を装着してフロアに出る、ここは小さなコスプレバー。
「ハッピーハロウィン!
お酒をくれなきゃいたずらするぞ〜!」
今日から始まったハロウィンイベント、お客さんからのドリンクを貰うかわりに小分けしたお菓子の袋を手渡す。
たまに「ど、どんなイタズラしてくれるのかなぁ?」ってちょっとキモいお客さんも居るけどね。
真夜中一時を過ぎて、最後のお客さんを見送ったらゴミ出しして今日のお仕事は終了。
「ふ〜疲゛れ゛だ〜、ゴミ出し言ってきま〜す」
「お願いしま〜す」
店の裏口の側にあるゴミ箱の前に行くと、男の子が立っていた「お、お菓子をくれなきゃイタズラするぞ…」中学生くらいだろうか、ひょろっとした男の子は何の仮装もしてないのにハロウィンの合言葉を言ってきた。
「なぁに?あんた子どもがこんな時間までこんな所うろついてるんじゃ無いよ」
自分も二十歳になったばかりだけどお酒もはいって気が大きくなっていたのか、ちょっとお姉さんかぜをふかせたみた。
「う…えっ、と」
始めの勢いは何処へやら、男の子は俯向いて口ごもってしまった「もー、しょうがないなぁちょっと待ってて」店に戻ってお菓子の小袋を取って戻ると男の子はちゃんと待っていた。
「早く帰んないと補導されちゃうからね」
男の子は受け取った小袋を両手で抱え「ありがとうございます」とお辞儀をした、何だかむず痒くなったので振り向かずに店に戻った。
「エリーどうした?」
「あ店長、何か中学生くらいの男のが居てさぁ」
「あぁそっか、近所のホステスさんのお子さんか…」
ちょっとした繁華街だけど若い娘が居るような店はうちくらいしかなかった「ハロウィンなんててやってるのはここくらいだろう?」店長は寂しそうにタバコに火を着けた。
「あんまり相手すんなよ?なつかれるぞ」
「そんな事言ったって、もうお菓子あげちゃったし」
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