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――カナ、僕は君が好きだ。大好きだ。
この鈍感な東洋娘には正攻法で行くしかないと、どうやら彼は腹をくくったらしかった。
――僕は出会った瞬間から君に恋してた。そしてずっと友人としてじゃなく、恋人として君とハグしたりキスしたかったんだよ。
「おおう、さすが向こうの少年。はっきりぐいぐい来るなぁ。んで?」
「私は……、まったく動けなかった」
仏頂面で花南は白状した。彼は緊張しながらも微笑んでいたけれど、私はただ彼の青い瞳を見つめたまま、なにを言ったらいいのか心の中で必死に考えていた、と。
「たぶんあの時私、怖かったんだよね」
「怖い? なんで」
「だって。あんなふうにまっすぐ見つめられて告白されて。恥ずかしくて夢みたいで」
遠い記憶が脳内で再現されたのか、耳朶がみるみる真っ赤に染まっていく。
「でもそれまでユーリィといるのがすごく楽しかったから。ここでなにかまちがえたら、彼を失うかもって……」
そうしたらユーリィは、花南の心を見透かしたまなざしで頬を撫ぜたのだという。
――ねえカナ、そんなに心配しないで。僕は君を困らせるために告白したんじゃないよ。今はなにも話さなくていいから。ただもう一度だけ、さっきより深くキスしてもいい? 君に僕の気持ちを伝えたいんだ。
「うっわ、なにそれ」衣吹は思わず声を上げた。「キスで気持ちを伝えるとか」
「なによ」
「言うんだ。そういうこと。マジで」
「なんでよ。おかしい?」
「だって聞いてるほうが恥ずかしー。けど一度でいいから言われてみたーい、日本人男子はまず言わないっ」
すると花南はいたって真面目顔になって首をかしげた。
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