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力をこめて組み合わされ、白くなった指を見て衣吹はすべてが腑に落ちた気がした。
いいや花南、あんたは馬鹿じゃない。むしろ賢い。スペックだけで男を値踏みするそこいらの女子よりずっと。だからつき合い始めた当初から、風祭の本性に懐疑的だったんでしょう。
専業主婦だろうがバリキャリだろうが、結局のところ精神的には夫たる男性に従属して生きる女。これから先の長い人生、そんな生き方で本当にいいのか、そういうのは私だって時折考えてるよ。
ただ幸運にもあんたは過去にちがう愛されかたをした。そういう貴重な経験があった。だから地球の裏側までアイデンティティを探しに出かけて――そして再会してしまったんだね。より魂が近しい運命の相手と。
「私、ユーリィに未練がましく連絡するの、もうやめようかと思ってたんだ」
夢の邂逅を果たしても、花南は日本という現実に戻ってきた。
問題は地球を半周しなければ逢えない二人の隔たりで。初恋を成就させるにはすべてが遠すぎて。だから利害を推し量って妥協し、風祭の執拗な要求も承諾したのに。
それをあの戦争が、根底からくつがえした。
――自分の生活より、彼の命のが大事。
花南の本音に胸を突かれた気がした。相手が生きるか死ぬかという段になって、この子はようやく自分の本心を認めることができたのだ。
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