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 花南は目を見開いた。 「あんたの王子様が、たとえなにか言ってきたとしてもだよ? 今の折れそうなあんたじゃ対応つかないよ」 「衣吹(いぶき)……」 「まずは寝る。それからきちんと食べる。(つら)くなったら()めずに吐き出す、これ基本」 「うん」 「とりあえず落ちつけ。冷静になれ。()(ほう)は寝て待てっていうじゃんか」 「うん。……うん」 「また泣きたくなったら(えん)(りよ)なく(たよ)りな。私、聞くからさ」  うん、と花南(かな)は首をふる。涙と洟水(はなみず)で顔をぐしょぐしょにしながら何度も。――うん、衣吹(いぶき)。ありがとう、と。
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