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じわり。ユノの目に涙が滲んだ。
ユノは慌てて目を瞬かせる。さすがに泣く訳にはいかない、今は撮影中なのだ。いくらずっと自分を撮っていなくてもいいとは言っても、今は特に手を使わなくてはいけないような状況ではない。
カットしてもらう?いや、ファンには見られなくても多くのスタッフさんたちの目に入るのが耐えられない。やっぱり駄目だ、我慢しよう。今は暗いところにいるのだから、ちょっと泣きそうになったぐらいの今ならまだ誤魔化せる。
意地でも泣かない、そう決意したユノの服の胸ポケットで、何かが震えた。
「……?」
ユノが胸ポケットに手を入れ取り出すと、それはスマホだった。そう言えば、「携帯は回収する」と言われたのと「トイレ今の内に行っといて」と言われたタイミングがほとんど同じで、トイレを優先したらそのまま回収してもらうのを忘れてきてしまったのだ。
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