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そして暗い中で光るスマホの画面には、カカオトークのアイコンと共に、「ジュウォニヒョン」の文字が浮かんでいた。
「……ヒョン……?」
驚いて画面を見ている間にも、3つ4つとメッセージは増えていく。
ユノはアプリを開き、ジュウォンとのトーク画面を表示した。
[ユノ?大丈夫?]
[始まる前、ちょっとキツそうだったから]
[スタッフさんからお前のスマホ回収できてないって聞いた]
[俺はもうゴールした]
[大丈夫、ゆっくり行けば必ずいつかはゴールできるから]
[1人に感じるだとかうじうじすんなよ、お前が1人になるわけないんだから]
「いつかはって……何それいつだよ……」
どうしてわかったんだろう。
ユノの頭はそれでいっぱいだった。こんな風に、弱っているのを察知して、折れそうになったところで応援してくるなんてズルすぎる。
ユノはゆっくりと手に持っていたカメラを下げた。大きな目にたっぷりと溜まった涙を拭う。
「よし、行こう」
ジュウォンが応援してくれたのだ。自分はそれに報いなくちゃだろう。
ユノの顔つきは、さっきまでとは変わり、雨上がりの空のように明るかった。
※カカオトーク
韓国で一般的に使われているメッセージアプリ。通称カトク。
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