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Act 1 : BL営業、開始
世界中の人々を魅了するK-POP。
年々その人気は上がっていって、今ではアメリカの伝統的な賞にノミネートされたりMVが何億再生超えをしたりと、とにかくブイブイいわせている、すごい業界。
世界中に夢と希望と愛を与えるこの業界の一員であるユノの一日は、こうして始まる―――。
09:09。
起きて最初に目に入ったのはその数字。
夜型人間のユノにとっては早朝、というか深夜とも言える時間だ。
そして、今日は珍しく、午後に振り付けの練習があるだけで、午前には何のスケジュールもない。
よし、世界、おやすみ。
心の中で呟いたユノは再び、暖かいまどろみの世界へ落ちてい……
「はーい、ユノさーん、おはようございまーす」
……くことはできなかった。あまりにも元気なモーニングコールがやってきてしまったから。
「おやすみスホヒョン……」
「何言ってんの、起きなさいユノ」
「なんでよヒョン、今日ほぼオフでしょ……」
ユノがうらめしい目全開で見つめると、スホはなぜかにやりと笑って言った。
「残念だったねユノ、マネージャーヒョンがお呼びだよ」
「……へ?」
「なんか会社から呼び出しだって。20分には支度終えて宿舎出てね」
そう言われたユノが時計を見ると、09:14の文字が浮かんでいた。
6分間で支度。
「……絶望的……」
爽やかな朝に不似合いなユノは、爽やかな朝には不似合いで、けれど自分自身にはよく似合った、大きなため息をついた。
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