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宿舎に戻る、と思っていた車は、会社に向かって緩やかに走り出した。
「あの……どっちか説明してもらってもいいですか?」
「なにユノお前聞いてないの?」
「うん」
ユノが当然のように頷けば、ジュウォンはその整った眉毛を顰める。
「マネージャーヒョン、ユノに教えてやってないんですか?」
「ごめんね、話す暇なんてなかったからさ」
「ダウト! さっきまでゆるゆる雑談してましたよね俺たち」
マネージャーはてへっと舌を出すと、そのまま何も言わずにまた前を向いてしまった。
「ちょっとヒョン! なんで何も言わないんですか!」
「安全運転だよユノ、ドライバーに執拗に話しかけるのはとっても危険な行為」
「そう言われたらアイドル側が何も言えないの分かってやってますね……?」
ジュウォンはいつの間にかイヤホンを耳に差し、こちらの話なんて全く聞いていない。
「まさかこのまま何も言われずに本部長のお話です、なんてことないですよね……」
ユノ、それはフラグというものだよ。
マネージャーの心の声は外に出ることなく消えていった。
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