Show Must Go On

Act 1 : BL営業、開始

　『CRESCENT』それがユノの所属するグループの名前。
　英語の「三日月」という言葉で、「成長」や「はじまり」という意味がある。
　メンバーと、事務所でユノ達を担当してくれている第一本部のスタッフたちで考えに考え、話し合いに話し合って決めた名前だ。
　ちなみに、当時厨二病をこじらせていたマンネ(末っ子)、ホジュンによって、恥ずかしい名前（DESTROY MONSTERS(デストロイモンスターズ)）になりかけたのは、ファンの中でも有名な話。

　自分たちで曲のほとんどを作る、最近増えてきた自主制作グループの一つで、曲はスホとユノが主体となって作っている。

　ファンの名前は「Full-MOON《プルムン》」。「僕達は満月が完全体で、ファンのみんながファンでいてくれることで完全体になれる」そして、韓国語で「扉」という意味の「문(ムン)」が「完全に（full）」開く、という2つの意味をこめたこの名前は、スホが案を出し、全会一致で決まった、思い入れのある名前だ。

　デビューして2年目に突入。プルムンも少しずつ増え、デビュー当初のような緊張感もなく少しは知名度も上がった。事務所があまり大きくないから簡単なことではなかったけれど。二人での曲作りも板についてきて、グループの活動はだいぶ軌道に乗ってきたといえるだろう。

　なのに、急にこんな―――……。

「君たち二人に、『BL営業』を頼みたいと思ってるんだよ」
　CRESCENTが所属する第一本部の本部長が眉を下げて申し訳なさそうに言った言葉に、ユノは絶句することしかできなかった。