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会社の外で待っていてくれたマネージャーの車に、二人で順に乗り込む。
ドアをバタン、と閉めたジュウォンは、ため息混じりに呟いた。
「まあ割と勘は当たってたな」
「え、面倒事だって思うならなんで受けたの」
ユノがいつものテンションでツッコむと、なぜかジュウォンは、ややバツが悪そうに目をそらした。
「……その、もっと厄介なことなのかなって思ったから、気が抜けてつい言っちゃったんだよ」
随分と下手な言い訳。
けれどユノは、それ以上は聞かないでおいた。何かあるならどうせいつかは言ってくれるだろう。
「へえ? 別にいいけど」
それにしても。
「なんとなく後戻りできない感がある、承諾するの早まった気しない? 一回持ち帰ってスホヒョンと相談とかしても良かったのかも」
「まあそれはそうだな、あの人決まったら行動早いし。もう今頃会議とか開いて、お偉いさん方は知ってるんじゃない?」
「うわー……やっぱり早まったよ俺たち」
「大丈夫、これまでと大して変わんないって」
「そうかな?」
「急にやりすぎたら不自然だろ、なに、カメラの前でキスでもしてみる?」
ジュウォンがそう言ったとき、突然、マネージャーが咳き込んだ。
「ちょっとヒョン、大丈夫ですか!?」
「ごめ、ごほっ、キスってなに、どういうこと?」
「本部長の要件、俺らにBL営業を頼むことだったんですよ」
マネージャーの顔を、鼻血が伝った。
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