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「お別れの時が来ました。これまで、私は枝として、葉っぱであるあなたに水分を送ってきました。あなたは、お日様の力を使ってたくさんの養分を作ってくれました。私は、あなたが作った養分をみんなのところに運びました。だから、この木は、こうしてしっかりと生きていられるのです」
「でも、私は死んでしまう……」
「大丈夫。あなたはまた、大自然の一部として生き返ります」
「そんなの嫌だ……ずっと葉っぱでいたい。ずっと、先輩の近くにいたい」
「……ありがとう……一緒に過ごせて楽しかったですよ……」
それが、私が聞いた最後の先輩の言葉でした。
私は、先輩から離れ、ひらひらと地面に舞い降りていきました。
そこには、先に散ったたくさんの落ち葉たちがいました。
私の意識はだんだんと遠のいていきます。
上を見上げると、前に私がいた枝がお日様の光を浴びて輝いていました。
さようなら、先輩……
先輩は、私を見てにっこり微笑んでくれたような気がしました。
こうして、私は葉っぱとしての一生を終えました。
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